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2023年11月6日 追加

Just A Little More Time

Bombay Bicycle Club / My Big Day ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

同じ幕開けに、喜びと憂いを聴く

2023年10月20日に出たボンベイ・バイシクル・クラブ(Bombay Bicycle Club)の6作目『My Big Day』は、「Just A Little More Time」で幕を開ける。1 ロンドンのバンドが休止から戻って2作目のアルバムで、その最初の一曲を、取材した二人の記者は喜びの合図として聴き、一人の評者は憂いの始まりとして聴いた。

喜びの側

音楽誌Pasteのグラント・シャープルズ(Grant Sharples)は、この曲を開く、自分自身を指さすようなシンコペーションの鍵盤から、最終曲「Onward」の最後の音まで、このバンドがこれほど楽観的で満ち足りて聞こえたことはない、と書いた。2 同じ記事でジャック・スティードマン(Jack Steadman)は、前作との大きな違いは自分たちでプロデュースしたことで、全部自分たちでやったから、これまで以上に自分たちの小さな赤ん坊のようだと話す。春に作って夏の終わりに向けて出したことも重なって、前向きな気分がたくさん入っている、とも。2

音楽誌Dorkの11月号でニーヴ・マッカーシー(Neive McCarthy)は、冒頭の拍から作る喜びがはっきり伝わると書き、2曲目の「I Want To Be Your Only Pet」と組んだ一撃を、これから来るものの宣言と呼んだ。この曲はアルバムの制作でいちばん楽に進んだ場面の一つだったとも記している。3 ベースのエド・ナッシュ(Ed Nash)は、喜びのレコードを作ろうとしたわけではないが、みんな人生のいい時期にいて、実際に喜びのレコードに感じる、と話した。前作ではプロデューサーに舵を任せたが、今回は2年かけて、それぞれのスタジオやほかのスタジオで断片を集めていった、とも。3 マッカーシーは題の「もう少しの時間」を、そうして時間をかけて試せたこのアルバムの宣言のようなものと読んでいる。3

musicOMHのジョン・マーフィー(John Murphy)は中ほどに立つ。夢見るようなぼやけた音の上で題がマントラのように繰り返される曲で、言葉が少ないぶん少し長く感じると認めながら、聴き慣れたボンベイ・バイシクル・クラブではないという合図だと書いた。4

憂いの側

音楽サイトMusic is to blameのイジー・グローヴァー(Izzi Glover)が聴いたのは逆の気分だった。シンセとスレン・デ・サラム(Suren de Saram)のドラムで始まる、映画のような導入。ほとんどが器楽で、合唱のような声が重なり、アルバムの始まりはとても張りつめて、かなり憂鬱だという。5

"This is not a happy start to the album."(アルバムの幸せな始まりではない)5

グローヴァーはこの曲に、年を取ることへの恐れと、若い時間がもう少し続いてほしいという願いを読んでいる。5 同じ題から、マッカーシーは制作にかけられた時間を、グローヴァーは過ぎていく若さを聴いたことになる。

グローヴァーによれば、曲はだんだん歪みを増していき、レコードを擦る音でふいに終わって、「I Want To Be Your Only Pet」へ渡る。5 マッカーシーが宣言の一撃と呼んだ、あの二曲の継ぎ目だ。

出典・注

[1] Apple Music, Just A Little More Time, MusicKit(API)の登録値。アルバム『My Big Day』への収録と日付2023-10-20に使った。1曲目であることは[4][5]の本文による。

[2] Grant Sharples, It's Bombay Bicycle Club's Big Day, Paste、2023年10月20日。休止後2作目であること、冒頭の鍵盤から最終曲までについての記者の評、スティードマンの言葉(セルフプロデュース、赤ん坊、春に作り夏の終わりに出したこと)に使った。

[3] Neive McCarthy, Bombay Bicycle Club: "We wanted to do something out there and weird", Dork、2023年10月26日(2023年11月号から)。冒頭の二曲についての記者の評と、題の読み、制作が楽に進んだという記述(記者の地の文で、メンバーの言葉としては書かれていない)、ナッシュの言葉に使った。記者は題の読みの中で歌詞を引いているが、ここでは使っていない。

[4] John Murphy, Bombay Bicycle Club – My Big Day, musicOMH、2023年10月20日。1曲目についての評に使った。評はアルバムに5点中4点を付けている。

[5] Izzi Glover, It's Bombay Bicycle Club's Big Day! A Review of Their Latest Album 'My Big Day', Music is to blame、2023年10月。1曲目の始まりと終わり、アルバム冒頭の気分、引用の一文、主題の読みに使った。頁に日付の表示はなく、月はURLによる。評は歌詞の言葉にも触れているが、ここでは使っていない。評ではドラマーの名が「Suran」と綴られているが、本文ではPasteの綴り(Suren)に合わせた。

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