変奏を止められなかった曲
ギャブ・ローム(Gab Rhome)は、自分の曲「Overconsumed」を、過剰な消費と、完璧を追う終わりのない競争の中で自分を見失うことへの「奇妙な頌歌」だと説明している。そして作る過程で、自分がその罠に落ちたと明かす。
"As I continued to develop this song, I couldn't stop starting new ideas and variations on the same theme."(曲を詰めていくあいだ、同じ主題の新しい案や変奏を始めるのを止められなかった)1
それは狂おしい自己充足の旅になったが、結局はこの曲にたどり着くために必要だった、とも言う。人との関係でも生活全体でも、人はいつも「もっと」を探していて、その感覚に迷い込みやすい、というのが彼の読みだ。1
2024年2月9日、自身のレーベルRendez-Vousからの発表の日に、ダンス音楽のサイトWhen We Dipがこの曲を初公開した。書き手のレベッカ・ベスノス(Rebecca Besnos)は、弾むディスコのベースラインと本人の声の組み合わせを挙げ、内省と、ダンスフロアでの解放を同時に誘う曲だと書いている。1 同じ記事は、前の年にClub Bad、Disco Halal、Get Physicalから曲を出してきた彼の、2024年の最初の一曲だと紹介する。1
曲は配信で二つの長さに分かれている。Apple MusicとDeezerの単曲は3分8秒、DJ向けの店Beatportに並ぶExtended Mixは4分29秒。234 Beatportの曲のページでは、その長い版がBeatport名義のチャート「Best New Indie Dance: February」と、Ricardo Mtzの名で組まれた2024年3月のチャートに載っている。4 変奏を止められなかったと語る曲に、長さの違う二つの形が残っている、というのは並べて見えることで、本人がそう結びつけたわけではない。
出典・注
[1] Rebecca Besnos, Premiere: Enigmatic producer Gab Rhome crafts introspective voyage on 'Overconsumed' via personal imprint, Rendez-Vous, When We Dip、2024年2月9日。本人の言葉(引用の一文と、その前後の言い換え)、初公開と発売日、ベースと声、内省と解放の評、前年の発表先に使った。記事は発売時の配信文に沿ったもので、本人の言葉はその中の引用。記者の文と本人の言葉が同じ配信文から出ている可能性があり、独立の二つの資料には数えていない。記事に埋め込まれた音源がどちらの長さの版かは確かめていない。Pete Tongらの評価に触れた一文は宣伝文なので使っていない。
[2] Apple, iTunes Lookup: Overconsumed - Single, Apple(米国)、API の登録値。1曲入りの単曲、187,750ミリ秒(3分8秒)、2024年2月9日。ライブラリの録音(3分8秒)の同定に使った。Apple Musicの曲のページには版の名(Radio Editなど)は表示されない。
[3] Deezer, Overconsumed, API の登録値。188秒、ISRC CA5KR2417477、2024年2月9日、レーベルRendez-Vous。Apple(MusicKit)の登録値も同じISRC。
[4] Beatport, Overconsumed (Extended Mix), 曲のページの表示。長さ4:29、レーベルRendez-vous、発売2/9/24、「Appears On」の欄のチャート2つ(「IMP089 March 2024」Ricardo Mtz、「Best New Indie Dance: February」Beatport)に使った。同じ頁の表示は120 BPM、E♭メジャー、Indie Danceだが、ライブラリの録音とは別の版なので本文には書いていない。チャートの名は頁の表示で、チャートの中身と順位は開いていない。ISRCはCA5KR2421528(台帳の取得)で、単曲とは別の録音番号。Discogsのrelease 29819656(API、ファイルの盤、Nu-Disco)も1曲4:29で、こちらの版にあたる。