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2024年9月1日 追加

Go Go Round This World!

フィッシュマンズ / 空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 2 分

アルバムに入らなかった曲が、幕を開ける

2022年9月11日、埼玉の秩父ミューズパーク。初めて開かれた野外イベント「WIND PARADE」で、フィッシュマンズは「Go Go Round This World!」からライブを始めた。音楽ナタリーのレポートによれば、ドラムの茂木欣一は事前のインタビューで、自分たちならではのアンサンブルを大きな音で思いきり感じてほしいと話していた。その言葉のとおり、6人の放つ大きなスケールの演奏が一瞬で客を引きつけた、とレポートは書く。1

この曲は、フィッシュマンズのどのフルアルバムにも入っていない。

1994年のマキシ・シングル

公式サイトの年譜では、1993年2月、シングル「Walkin'」を出したあとでメンバーが佐藤伸治の家に集まり、これからの方向を話し合っている。タイアップを取って売れるより、本当にやりたいものをやろう、と茂木は言ったという。3月にはZAKをエンジニアに迎えてアルバムの録音を始め、秋から冬には毎週のように対バンを重ねる小さなツアーで、バンドは加速度的に力をつけていった。2

「Go Go Round This World!」はその翌年、1994年2月2日に、バンド初のマキシ・シングルとして出た。公式のディスコグラフィーは、表題曲はフルアルバム未収録ながらファンに人気の高い名曲だと紹介し、同じ盤に入ったリミックスはAUDIO SPORTSの恩田晃によるものだと記している。3 同じ年の5月には、結成時からのギタリストがバンドを離れている。2

昼の二曲目

2005年、ベスト盤『空中』が出た。茂木が晴れた昼から夕暮れ、夜へというイメージで全キャリアから選んだという一枚目の、2曲目にこの曲が置かれた。4 2024年のアナログ化に寄せて茂木は、面ごとの流れを楽しんでもらうことを何より大切にした、と話している。5

同じ2024年の12月には、1997年5月31日に神戸のチキンジョージで行ったライブの演奏を、ZAKがミックスし直した版が配信された。企画と監修は茂木。6

後半の一曲目

2025年2月18日、東京ガーデンシアター。音楽ナタリーによれば、バンド史上最大の規模となったこのワンマンで、ライブの後半はこの曲で始まった。張りつめたイントロがしばらく続いたあと、ゲストのUAが堂々とステージに現れ、重く引きずるようなレゲエのリズムに乗って歌い出すと、会場の空気が一変したという。7

アルバムに入らなかったシングルの曲は、30年ほどのち、秩父の野外ではライブの一曲目に、東京の大きなホールでは後半の一曲目に置かれていた。二つのレポートの並びから引く読みで、茂木がそう位置づけると語ったわけではない。

出典・注

[1] フィッシュマンズ、くるり、折坂悠太、カネコアヤノが競演!秋の夜風に乗せて届けた豪華セッション, 音楽ナタリー、2022年9月16日。WIND PARADE '22(9月11日)のレポート。1曲目、茂木の事前インタビューの言葉(レポートが引いたもの)、6人の演奏についての記述に使った。署名は見当たらない。

[2] BIOGRAPHY, フィッシュマンズ公式サイト。1993年の話し合いと茂木の言葉、ZAKを迎えた録音、小ツアー、1994年のマキシ・シングルの発売日、5月のメンバーの脱退に使った。年譜は後年にまとめられたもので、各項目の出どころは示されていない。

[3] Go Go Round This World! / Maxi Single, フィッシュマンズ公式サイト。初のマキシ・シングルであること、フルアルバム未収録、リミックスの担当に使った。この頁は1998年3月18日のポニーキャニオンからの再発盤(PCCAX-00008)の紹介で、オリジナルの発売を1994年2月2日と注記している。

[4] 『空中』ベスト・オブ・フィッシュマンズ, フィッシュマンズ公式サイト。発売日(2005年4月21日)、曲順、茂木の選曲のイメージに使った。ライブラリのこの録音は『空中』収録の3分59秒で、1994年のシングルと同じ録音かどうかは確かめていない。

[5] ベスト盤『空中』『宇宙』アナログリリース決定!, ユニバーサル ミュージック(公式ニュース)、2024年2月9日。アナログ盤についての茂木のコメントに使った。『空中』は2005年にポニーキャニオンとユニバーサル ミュージックの共同企画として出たと記されている。

[6] 「Go Go Round This World! [Echoes of Infinity mix]」配信リリース!, ユニバーサル ミュージック(公式ニュース)、2024年12月25日。1997年の神戸公演の演奏であること、ZAKのミックス、茂木の企画・監修に使った。この演奏は2000年のDVD『記憶の増大』に収められていたもの。

[7] フィッシュマンズは進化を止めない、東京から世界に発信した最新型サウンド, 音楽ナタリー、2025年2月25日。東京ガーデンシアター公演(2月18日)のレポート。後半の始まり、UAの登場と歌の場面、バンド史上最大規模のワンマンであることに使った。

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