My Music Research10 年分のライブラリを、追加日順に
2024年11月11日 追加

Talk To Me

Champion、Four Tet、スクリレックス、Naisha / Talk To Me ▶ Spotify

エッセイ ・ 約 3 分

一度だけ盤になった曲の、十年後

2024年8月12日、ハンガリーのシゲト・フェスティバル(Sziget)で、フォー・テット(Four Tet)とスクリレックス(Skrillex)がDJをした。投稿型の曲目表MixesDBでは、そのセットの曲の一つが「Flip Side」という名で載っている。名義はチャンピオン(Champion)、フォー・テット、スクリレックス、ナイシャ(Naisha)。1 同じ4人の名で「Talk To Me」として出るのは、それから2か月半ほど後のことだ。

「Flipside」から

Beatportの読み物サイトBeatportalのハリー・レヴィン(Harry Levin)によれば、UKガラージの大物チャンピオンとフォー・テットがこの曲に取りかかったのは2014年で、そのときの題は「Flipside」だった。サンプルの使用許可が取れず、盤は一度プレスされただけ。スクリレックスがそれを耳にして、3人は2015年に一緒にショーをした。2023年に3人がまた集まり、「Flipside」を作り直して「Talk To Me」にした、という。2 Discogsの登録では、フォー・テットのレーベルText Recordsから2016年1月に、「Flip Side」と「Disparate」を両面に収めた12インチが出ている。3 同じ年の3月24日、フォー・テットとチャンピオンらが出た3時間の番組「Exploring Future Beats」の曲目表にも、「Champion & Four Tet - Flip Side [Text]」の行がある。4

出る前の夏

作り直した版は、発売の前からフォー・テットのセットで鳴っていた。MixesDBの曲目表では、8月3日のシカゴ、ロラパルーザの75分ほどの録画では、始まって23分ごろに「Talk To Me」が入る。5 8月10日、ロンドンのフィンズベリー・パークで開かれた、彼の名を冠した一日がかりの催しでは、5時間の録音の2時間52分ごろ。6 そして2日後のシゲトで、同じ曲が古い名で書き留められた。1

曲は11月1日、Disorderから出た。78 インドの媒体Social Ketchupの記事によれば、4人が曲作りの場で自分を愛する歌として構想したもので、ナイシャはヒンディー語で歌い、英語は題名だけだという。9 ナイシャ本人はこう話している。

"We wanted to create a song that felt both familiar and futuristic, a blend of Indian and Western influences."(なじみがあって未来的にも感じられる、インドと西洋の影響を混ぜた曲を作りたかった)9

Beatportの表示では127 BPM、Dメジャーで、ジャンルの欄はDance / Pop。Discogsのスタイルの欄はBassline、UK Garageと付けている。710

発売から1か月後の12月1日、ニューヨークのネットラジオThe Lot Radioで、フォー・テットは始まって9分半ごろにこの曲をかけ、続けてハイドローリックス(Hydraulix)のリミックスに移っている。11

翌2025年3月、マイアミのウルトラ・ミュージック・フェスティバル(Ultra)で、スクリレックスのステージにナイシャが加わった。インドの媒体Homegrownによれば、彼女はこの曲のヒンディー語のラップを歌い、客を沸かせた。12 2014年に許可が取れず、一度プレスされただけだった曲が、10年あまりのち、ナイシャのヒンディー語を乗せてマイアミの舞台で歌われた。

出典・注

[1] 2024-08-12 - Four Tet & Skrillex @ Sziget Festival, Hungary, MixesDB。「Flip Side」の名で載る行に使った。利用者が書き込む曲目表で、頁は「incomplete」と表示し、時刻は付いていない。録画は1時間32分33秒。その行が作り直した版なのか古い版なのかは、曲目表からは分からない。

[2] Harry Levin, Skrillex, Four Tet, and Champion Join Forces on Bass-Fueled Single, "Talk To Me", Beatportal、2024年11月1日。2014年の「Flipside」、サンプルの許可、一度だけのプレス、2015年のショー、2023年の作り直しに使った。記事は3人の分担(高音の打楽器、シンセ、ベースとキック)も書くが、筆者の聴き取りとして書かれているので本文には入れなかった。

[3] Champion & Four Tet – Flip Side / Disparate, Discogs(API、release 8041086)。Text Records、TEXT039、12インチ・45回転、2016年1月、A面「Flip Side」5:41、B面「Disparate」6:03。Beatportal([2])の言う「一度だけのプレス」がこの盤を指すかは、記事からは確かめられない。

[4] 2016-03-24 - Four Tet, Champion, Pearson Sound, Joy Orbison - Exploring Future Beats, MixesDB。曲目表の行に使った。4人の誰がかけたかは書かれていない。「incomplete」の表示がある。

[5] 2024-08-03 - Four Tet @ Lollapalooza, Chicago, MixesDB。行の頭の分([23])と録画の長さ(1:15:25)に使った。セットそのものの長さは書かれていない。「incomplete」の表示がある。

[6] 2024-08-10 - Four Tet @ Four Tet All Dayer, Finsbury Park, London, MixesDB。時刻(2:52:40)と録音の長さ(全体版5:00:02)に使った。セットそのものの長さは書かれていない。曲目表では歌い手の名が「Naishi」と書かれている。「incomplete」の表示がある。

[7] Beatport, Talk To Me, 曲のページの表示。レーベル(Disorder)、BPM・キー・ジャンル、長さ3:52、発売日11/1/24に使った。

[8] iTunes Lookup: Talk To Me (feat. Naisha), Apple(米国)。発売日(2024-11-01)の確認に使った。

[9] Let's Ketchup, Indian vocalist Naisha collaborates with Skrillex, Champion And Four Tet on new single, "Talk To Me", Social Ketchup、2024年11月8日。曲の構想、ヒンディー語の歌、ナイシャの言葉と引用に使った。ナイシャの生まれについて、この記事はムンバイ、Homegrown([12])はオディシャと書いていて食い違うので、本文には書かない。

[10] Champion, Four Tet, Skrillex, Naisha – Talk To Me, Discogs(API、release 32169636)。スタイルの欄に使った。DisOrder Records、ICLG086B、Extended Editの配信版(5:44)の登録。

[11] 2024-12-01 - Four Tet @ The Lot Radio, MixesDB。時刻(0:09:30と0:12:20)と、続けてリミックスに移ることに使った。約2時間の放送。「incomplete」の表示がある。

[12] Faris Ansari, Indian Artist Naisha Bhargabi Just Performed 'Talk To Me' With Skrillex at Ultra Miami, Homegrown、2025年4月2日。ウルトラでの共演に使った。記事は、スクリレックスにとって10年あまりぶりのウルトラの出番だったとも書く。ステージの名と日付は記事に書かれていない。

← この曲のページへ