曲の反復から、セットの隣り合わせへ
一曲の中で続くものと、その途中に入ってくるもの。ダフニ(Daphni)の「Hang」の曲評は、その関係に目を向ける。作り手のダン・スナイス(Dan Snaith)がDJセットやアルバムを語る言葉を重ねると、音の組み合わせを、一曲から曲同士の並びへ広げて考えられる。
続くリズムに、違う色を差し込む
Qobuzのベンジャミン・コールマンは、「Hang」を、跳ねるような反復へ、トランペットの色彩が突然差し込まれる曲と評する。1 反復の持続と、そこへ入る音の違いを、曲の印象として捉えている。
同じ動きを繰り返す音には、次を待つための基準がある。そこへ別の音色が入ると、続いていたものも新しい組み合わせとして受け取れる。曲の変化を、反復そのものをやめることだけで考えず、反復に何を重ねるかから考える見方である。
DJで使う曲と、盤に並べる曲
本人は、ダフニの音楽を主に自分のDJセットでかけるために作り、『Butterfly』の大半もセットで使うと話す。その一方で、踊りを支えるための機能的な曲と、より風変わりな曲を隣り合わせることに、セットでもアルバムでも関心があるという。2
一曲の中で音の違いを置くことと、曲同士の違いを並べることでは、大きさが変わる。DJとして音楽をつなぐ本人の話は、踊れるかどうかを各曲だけで判定するのでなく、前後に何があるかも考える視点を加える。
スナイスはカリブー(Caribou)名義でも活動する。2025年のアルバム発表時には、二つの名義を分けてきた大きなものの一つが自分の声であり、それまでダフニの曲で歌ったことはなかったと説明している。3 名義の違いにも、ジャンル名だけでなく、本人がどんな役を担うかという区別がある。
出典・注
[1] Benjamin Callman, Qobuz『Butterfly』。対象曲の評。トランペットは評者の描写で、実楽器や演奏者を確定するクレジットではない。
[2] Northern Transmissions「Hang by Daphni」。ダフニ全般と盤についての本人発言。「Hang」の具体的な使用セットや版は、この発言から特定しない。
[3] Hattie Lindert, Resident Advisor「Daphni announces first new album since 2022, Butterfly」(2025年11月12日)。当時の本人による名義の説明で、「Hang」の声や素材の工程へ移さない。